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「老い」への処方箋 [介護日記]

体重が33kgまでおちてしまった母が心配で、病院に入院してもらったのだが、心配していたような検査結果ではなく、1週間余りで退院することができた。私にとっては一安心だったのだが、母の気持ちがそれで晴れることはなかった。腰の骨が今までの2本に加えて、もう1本つぶれていることがわかったからだ。そのために、こんなに腰が痛くて、起きているのがつらくて、みんなに迷惑ばかりかけている、とさらに落ち込んでしまった。

実は、私もそんな母と、母と同居する弟一家を見ていて、この1ヶ月間落ち込んでいた。老いること、年をとっていろいろなことが出来なくなることが、悪いこと、いけないことのように感じてしまったからだ。母は自分を家族に迷惑をかけるだけの無用な存在だと思って、自分の家なのに弟一家に遠慮して小さくなって暮らしている。
そんな母に接していて、私は年をとることがこわくなってしまった。私も年をとって、病気になったり、あちこと具合が悪くなって、人に手を貸してもらわなければ生きられなくなったら、自分の存在を否定しなければならなくなるのだろうか。老いへの悲しみや、できる事が一つ、また一つと減っていくことが、どんなにつらくて心細いことであるかが、今のように想像ではなくて、実感としてわかる日が、私にも確実にやってくるだろう。
そうしたら、私も母のようにうつになってしまうかもしれない。

その時に、老いを認め、出来ない自分を受け入れられる自分でありたいと思っているし(思うより、祈るような気持ちなのだが)、家族にも、欲張っていえば社会にも認めてほしいと思っている。人が年をとるのは当たり前のことだし、病気になったり、体のあちこちが思うように動かなくなるのも仕方のないことなのだから。

母が出来ないことを、私に頼むときと同じように、同居している家族にも気兼ねなく頼めて、弟一家がそれを快く引き受けてくれる雰囲気が家庭の中にあればいいと思う。
だが私は、それ以上に、母の老いの悲しみと、私の老いへの不安をやわらげてくれるものが他にあることを知っている。それは、「ありがとう」「おはよう」「行ってきます」「ただいま」「今日は、体の具合はどう」などの、家族からの何気ない一言だ。それもドア越しではなく、面と向かっての声かけだ。それだけで、きっと、どんなにか気持ちが明るくなることだろう。
それが、現在の母に一番効く薬の処方箋だと私は思った。

私がそれを弟に望んだことは、そんなにいけないことだったのだろうか。

(追記;ずいぶん、記事を書かなかったのに、見捨てないで読んでくださっている方、本当にありがとうございます。)


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ひまわり

始めまして♪
私はまだ姑の介護をしておりませんが
田舎に住む友人が姑、舅のお世話でクタクタ状態なんです。

「介護は他人に、愛情は家族」の言葉を教えてあげようと思います。
大好きな親でも、老いていく姿を見るのは寂しい事ですよね。
私自信自分の親は早くに亡くなって看病すら出来ないまま、あっと言う間に
さよならされて、今では姉達と「母さんは看病もさせず、介護もさせず、今思えば子供孝行して亡くなったんだね」と話しています。
でも、姉も私も姑が居て(私は今のところ別居)自分の親に出来なかった分、姑に優しくしてあげようと思っていますが、実際日々の介護となると大変なんだろうと思ってます。これからも、色々と教えてください。
by ひまわり (2005-11-11 17:24) 

ちいとと

ひまわりさん、コメントありがとうございます。今から、お姑さんにやさしくしようと思っているひまわりさんは、やさしい方なんだと思います。私の娘も、近い将来、姑と同居することがほぼ決まっていて、娘もひまわりさんのようにやさしいのですが、私は同居しないですめばそれにこしたことはないと思っています。うまくいくはずがないと思うからです。それでも、一方通行ではなく、お互いに「ありがとう」の気持ちがあれば、何とかなるかもしれませんが…。
by ちいとと (2005-11-11 23:21) 

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