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アフガニスタンの子どもの目 [テレビ]

一昨日にNHKテレビ「クローズアップ現代」で見た、アフガニスタンの子どものうつろな目が心に焼きついて離れない。

長引く対テロ戦の陰で、大人ばかりでなく子どもまでも麻薬に蝕まれている様子が映し出されていたからだ。
アフガニスタンでは、麻薬の原料になるケシの栽培が全土に拡大して、世界の生産量の9割をこえたという。
アフガン政府はこれに危機感をもって、ケシに人間が滅ぼされる前にケシを撲滅しようと、アメリカなどの支援を受けて、ケシ畑を根こそぎ潰してしまうなどの強硬策を取っていた。

私はケシを栽培することは違法だと理屈ではわかっていても、ケシに依存しなければ生きていけないアフガンの農民の悲痛な顔を見ていられなかった。この先、彼らはどうやって生き延びていったらいいのだろうか。彼らから畑を奪っても何の解決にもならない。それどころか、彼らは食べていくことができなくなって、今以上に栄養失調になって死んでしまうだろう。

麻薬は欧米に流れ込んでいるだけではなく、密売による利益はタリバンの大きな資金源にもなって、それがまた武装反乱を増大させているという。
麻薬を取り締まるはずの警察官が国境付近でそれを横流しする姿も、映像には映し出されていた。政府高官の中にも麻薬で甘い汁を吸っている人たちがいるという。
悪循環が繰り返されるばかりだ。
記者は事実だけを淡々とレポートしていたが、見る側がこれだけ衝撃を受けたのだから、現地で取材した当の記者の思いは想像も出来ないほどだ。

「世界がもし100人の村だったら」という本の中に、「世界の子ども100人のうち小学校に行くのは87人です。中学校に行くのは40人です。そのうち20人は、とちゅうでやめました。60人ははじめから行っていません。子どもたちが中学校に行かないのは、貧しさや、戦争や飢餓のためです」と書いてあったことが、現実のこととして胸に迫った。
日本では中学までは義務教育と呼ばれているくらいだから、教育を受ける権利も持たないアフガンの子どもたちからみれば、恵まれていると言わざるをえないだろう。

干ばつに加えての内乱続き、そして、水や食べものという生きるために必要最小限のものが保障されていなくて、生きる希望を失ったアフガニスタンの人々。その苦しみから逃れるために、自ら麻薬を吸い、幼い子どもたちにまで与えてしまう。それで、子どもたちが静かになるからだという。
見ていてつらくなるようなアフガニスタンの現状だった。

こんな子どもたちが、もし学校に行くことが出来たとしたら、どんなに喜ぶだろうか。
「勉強して何の意味があるのか」などとは、思わないに違いない。
学校に行って勉強ができるというそのことだけで、彼らの目はきらきらと輝くことだろう。

今は夢物語にすぎないかもしれないが、そんな日が一日も早く訪れることを願うばかりだ。
大人の利益のためにする戦争が、決して子どもをしあわせにしないことを、特に、権力をもつ大人ほど肝に銘じてほしいと思う。


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こう

戦争を実行する権力が最も強力な麻薬なのかもしれません。
その麻薬を根絶しない限り、子供たちのしあわせは、来ないのかもしれませんね。
by こう (2007-05-24 00:15) 

ちいとと

同感です。
「世界がもし100人の村だったら」に、「子どもが子ども時代をうばわれることは、人類が生き延びるのに欠かせない、しあわせの記憶がうばわれることです」とありましたが、どの国の子どもたちにもしあわせの記憶は持ってほしいですね。
by ちいとと (2007-05-24 21:22) 

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