半分万歳 [介護日記]
10日程度ですむと思っていた母の入院生活が長引いて明後日で1ヶ月になる。入院して数日後には吐いたり、下痢したり、食欲が全くなくなったりして、口から食べることが出来なくなり、1週間余りにわたって点滴で栄養を摂っていた。
そのために、家から持って行った薬も飲めなくなり(母の入院した病院は、入院患者には薬を処方していなくて、家で飲んでいた薬を引き続き飲むことになっていた)、必然的にうつ病の薬も10日間ほど中断していた。
薬を飲まないことによる支障はすぐに表れた。まず、艶のよかった母の顔色がどんよりと曇り、痛みの部位が次々に移動し、目に光がなくなって、生きる力が急激に弱まっているのが感じられた。
私はすごく心配だったし、不安にもなったので、その週は根詰めて病院に通った。
以前に比べれば、母のうつ病はずいぶんよくなってきていたし、これなら薬はやめてもよいのではないかと思っていた矢先のことだったので、ショックも受けた。
幸いなことに点滴が取れて、再び薬を飲むようになると、母は目に見えてよくなってきた。
ベッドから起き上がることが出来ずに、このまま寝たきりになってしまったらどうしようと密かに心配もしていたのだが、付き添いは必要なものの、今日は歩行器でトイレまで行けるようになった。
さらに、用を足した後は、歩行器で少し歩く練習がしたいとまで言い出した。
うつ病になる前の前向きな母の姿がそこにはあった。
よかった、と思った。
それでも、手放しでは喜べない。
人生はいつだって、半分しか万歳はできないのだから。
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