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問題をもつ子 [子育て]

子どもに関わる仕事をするには、子どものことが好きでないとできない部分もあるが、同時に幅広い知識を得たり、経験を積んだりしながら、たえず自分を見つめ直したり、振り返ってみることが必要になってくる。
今日は、これまであちらこちらで触れてきた講演や本、新聞記事のなかでも、私が最も共感できた「日本子どもソーシャルワーク協会」の寺出壽美子理事長の「子どもたちは、何故こもるのか」というタイトルの文から一部を抜粋して紹介したいと思う。私自身の子育てを振り返って自戒をこめながら……。

不登校・ひきこもり、摂食障害、薬物し癖、窃盗、傷害、恐喝、など等、彼らが表出する行動はさまざまですが、その根底にあるものは、共通なのだと思います。それは彼らが、自ら生まれてきたことの意味を見出せないでいるということだと思います。つまり、自分は、このままの自分でいいんだ、今ある自分のままで生きていっていいんだ、今のままの自分で、親に愛されているんだ、と、自信をもって実感できないでいるということです。
それでは、今ある自分を肯定的に受けとめられない状態は、どのようなプロセスの中で培われてきてしまったのでしょうか。それは、ひとことで語るなら、主たる養育者(多くは父母)が日々の生活の中で、子どもを否定したり、無視したり、いずれにしても家庭の中で、自分はいなくてもいい存在、必要とされない存在、邪魔な存在、他の兄弟と較べて可愛くない存在と、親に思われているのではないかと、子どもが実感してきたということです。

このような書き方をしますと、こんなひどい親は、滅多にいるものではないと、感じられるかもしれませんが、「あんたは、いつも、のろくて、どんくさい」、「こんなに出来の悪い子はうちの子ではない」、「言うことが聞けないなら、出て行きなさい」、「あんたなんか、産まれなければよかった」、「あなたのせいで、父さんと、いつも喧嘩になる」、と、親は日常的に無自覚のうちに、子どもに対して、否定的なことばを投げかけています。
子どもが子どもとして、1日いちにちを、生き生きと生活できること、無理なく楽な気持ちで生活できることは最低限の権利なのですが、この最低限の権利が、実は奪われているのが現実です。

身体的虐待ゆえに、殺してしまった極悪非道な父親・母親と、テレビのニュースで流されることがありますが、身体的虐待だけが虐待なのではなく、日々の生活の中で不適切な対応や、子どもの発達を保障しない養育は、すべて広い意味での「虐待」なのだと思います。「○○校に合格したら、愛するよ」「○○を習い続けるいい子は、愛するよ」、「学校に行ってくれるなら、愛するよ」と、親の提示した条件をクリアーするなら、我が子として認めようという立場は、広い意味での「虐待」、すなわち、不適切な関わりです。
従って、学校に行く・行かない、仕事に就く・就かない、のレベルでみるのではなく、今の子どものそのままの状態を、愛せるかどうかということです。すなわち、たとえ、不登校・ひきこもりの状態にあったとしても、そのままの状態の我が子を、いとおしく思えるかどうか、不登校・ひきこもりを、受け入れられるかどうか、なのだと思います。(以下、省略)


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arissa2005

大変興味深く拝見させていただきました。親の愛情はもちろん大切ですが、親は二人だけですもんね。もっと子供を受け入れてくれる土壌が欲しいところです。地域や・田舎には年寄りや、赤ん坊や自然や鳥がいたりします。親はそういう世界があることを学ばせないとダメですよね。子供が愛せない親は自身も教育(愛)されてないから難しいです。今まさに60歳代以上の力が必要だと思いますね(金もあれば、時間もある。心に余裕があるはずです)声掛け・ふれあいが人間には必要ですよね
by arissa2005 (2005-08-28 09:08) 

ちいとと

たっくんさんコメントありがとうございました。本当に子どもを受け入れてくれる土壌は必要だと思います。また、おっしゃるように、子どもが愛せない親は自身も愛されてないから難しいです、というのは、そういう親子に接する機会が多いためか、強く感じています。そういう母親を包み込む温かい社会も必要ですよね。
by ちいとと (2005-08-28 23:00) 

arissa2005

>そういう親子に接する機会が多いためか
Q なぜ多いのですか?差し支えなければ教えてください

>そういう母親を包み込む温かい社会も必要ですよね
絶対に必要ですね。母親のストレスは子供に向けられるからです。
母親を助けることが急務ですね
by arissa2005 (2005-08-28 23:31) 

ちいとと

たっくんさんのご質問にお答えします。子育て支援の仕事(仕事というよりボランテイアに近いのですが)をしている中で、子どもを見るというより、むしろその母親に寄り添ったほうがよいケースがあります。また、私自身がかなり長い期間、カウンセラーの勉強をしている関係からか、母親からの相談を持ちかけられることがあって、聞いていくうちに、その母親自身、過去から現在にわたって自分の親から受け入れられていなくて(愛されてなくて)、苦しんでいることが明らかになったりします。それでも、自分の子どもに対してはいい母親になろうとするので、余計に苦しんでしまうこともあって、そういう場合は、解決にかなり時間がかかることもあります。
by ちいとと (2005-08-29 20:38) 

arissa2005

お答え下さってありがとうございます。私の地域でも「子育て支援」の案内がありました。子供はまっさらですが傷ついた母親を癒すことは難しいでしょうね。なぜなら信頼関係を築くことが難しいからです。余談ですが、私の母もとても変な人なんですよ。母が変わることは諦めていますけど、母は孤独な一人暮らしなのでかわいそうだなと思ったりもします。私は父と仲良しだったので母はいなくてもいいと子供の頃から思っていました
by arissa2005 (2005-08-29 21:43) 

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