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引きこもりの青年への手紙 [私のこと]

高校を卒業して以来10年余り、大学や専門学校にも行かず、職にも就かなかった青年に一ヶ月に1度、手紙を書き始めて間もなく2年になろうとしている。

その間、彼からは1度も返事をもらったことがないので、私の手紙を読んで彼がどう思っているのかわからず、全く一方的な手紙になっている。
それでも、彼の母親からは、彼が手紙を楽しみにしていること、その手紙を大切にしていて母親にはなかなか読ませないことなどを聞くと、ほっとしたりもする。

私が手紙を出し始めてから3ヵ月後、彼は自動車教習所に通い始め、それから1年かけて、免許を取得した。また、1ヶ月間だけだがアルバイトもした。

彼の母親は彼を受け入れているから、彼は救われているともいえるのだが、だからと言って、そのままの状態がいいとも思えなかったので、手紙は私の方から申し出てはじまったことだった。

もし、私自身がひきこもっていたとしても、また、何人かのひきこもりの若者と話した経験から言っても、ひきこもっている状態を続けているのはきついと思う。
彼らは外に出ていくことを親から強制されるのもいやだし、家にいたままでいいと言われるのもいやだという。それが正直な気持ちなのではないだろうか。

ひきこもりの支援NPO施設で、ひきこもりの青年が死亡するという事件が起きた。こういう事件が起きると、そこまで追い込まれる前に、何らかの手立てがなかったのかと重い気分になってしまう。

神戸に住む私の知人にも、不登校からひきこもり、そして、天国に行ってしまった娘をもつ母親がいる。10年も前のことだが、彼女はそれがもとで心の病気になってしまい、もう6年も入院生活を送っている。

娘が生きている間は、彼女は私にはもちろん、どんなに親しい友人にも娘が不登校、ひきこもりだということは言わなかった。
世間に対して、娘のことは知られなくなかったのだと思う。

我が子を不登校やひきこもりにしようと思って育てた親は1人もいないはずだし、そのことでどんなに親が苦しい思いをしているかは、この10年余りの彼女のことを考えれば、十分とはいえないかもしれないけど理解はできる。

それでも、彼女を含めて、私が接したかぎりでは、子どもたちが、親のことを「うそつき」と思っていることが気になる点だった。
うそつきとは、口ではきれいごとを言いながら、本当は世間体ばかり気にしているという意味だと思う。

実は、私はそう思う彼らの感性が好きだ。
世間で生きていくには鈍感なほうが生きやすいのだが、感受性が豊かで、不器用な彼らに私は心が引かれる。

彼らと一緒に、いろいろな本を読んだり、ものを書いたり、考えたり、勉強したり、聞いたり話したりできるおばさんになりたいと思う。
また、その親たちの話し相手にもなれたらいいと思う。


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